
こんにちは、いちごのシニア通信局です。
きょうは雲ひとつない秋晴れ。
こんな日は、洗濯物も人の心もよく乾きます。
朝から夫がそわそわしていました。
「天気がいいから登ってくる」
そう言って、霧島連山の甑岳(こしきだけ)へと出かけていきました。
リュックにおやつやペットボトルを詰める姿は、まるで遠足前の子ども。
その背中を見送りながら、楽しんで安全に帰ってくることを願いました。
「気をつけてね」だけの見送り
「一緒に上らんね。」と誘われたものの、最近どうも膝が言うことを聞きません。
以前は、どんな急登でもついていったのに、いまはちょっと腰が引け気味。
無理をして痛めるよりも、リビングから応援するほうが賢明です。
「気をつけてね」と言って見送りました。
車が出ていくと、家の中にぽつんと静けさ。
それでも、夫が元気に山へ向かう姿を見ると、
ちょっぴりうれしくなります。
安心のLINE「一緒に登ることになったよ」
出発から1時間余りたったころ、スマホがピコンと鳴りました。
夫からのLINEです。
「登山口で一人の登山者と出会った。一緒に登ることになったよ」
その一文に、思わずホッとしました。
山の天気は変わりやすいし、何より一人より二人のほうが心強い。
どこに行っても人との縁をつくるのがうまいのは、夫の長所です。
「良かったね。楽しんできて!」と返信すると、
すぐに既読がついて“了解!”のスタンプが返ってきました。
山の中でも、ちゃんとつながっている――スマホってありがたいですね。
山頂から届く“実況中継”

昼下がり、再びスマホが震えました。
予想どおり、山頂からの“実況中継”です。
動画を開くと、夫の声が風に乗って響きます。
「見てごらん! 高千穂の峰や韓国岳が見えるよ~!」
おお、まぶしい青空の下で、万歳をしながらはしゃぐ姿。
声のトーンが完全に“孫モード”です。
山頂でひとりカメラに向かって話しかける姿を想像すると、
思わず笑ってしまいました。
夫にとっては、登山そのものより、
“孫への実況レポート”が目的なのかもしれません。
そしてそれを見るわたしも、まるで山頂にいる気分。
スマホを見ながら、「今日も元気だなぁ」とほっとします。
満面の笑みで「最高だった!」

夕方、玄関がガチャリと開きました。
「ただいまー! 見晴らしが最高だった!」
汗をぬぐいながら、少年のような笑顔。
スマホの中の山の写真を見せては、楽しそうに話します。
火口湖の中のススキ原、見たことのない風景にびっくりしました。
「途中で会った人とね、山の話が尽きなくてさ」
まるで旧友に再会したような調子です。
山好き同士って、初対面でもすぐに打ち解けるんですよね。
わたしは「おつかれさま」と言いながら、
温かいお茶を差し出しながら、
“ああ、今日もいい一日だったなあ”とうれしくなります。
山に登らなくても、心は山の上
最近は、登山も“見送る専門”になったわたしですが、
スマホ越しに届く夫の映像や声で十分楽しめます。
登らなくても、それが今のわたしたち夫婦の「新しい登山スタイル」。
「お父さん、また行くの?」
「うん、次はもう少し高い山へ!」
そう言って張り切る姿を見るたびに、
“元気でいてくれること”が何よりの宝物だと思います。
次は、久住山のミヤマキリシマだけは見に行きたいと思っている私です。

